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「ほんとお前、昔っから足が速いだけで、ドリブルは下っ手くそなぁ!」
ゆかりと耕平は、年は一つ違いだが、昔から見知った間柄、世間的にみれば、幼馴染みというヤツである。
その為もあってか、ゆかりのプレイスタイルや弱点を耕平はよく熟知している。
「んぎぎ…やっきゅん、何で邪魔すんのよさ!」
悔しさを一杯に滲ませて、ゆかりが尋ねる。
「ザッキー(坂崎先生)から聞いたぜ。お前、女子サッカー部作るんだってな?」
「そ、そうよ!だから何さ…」
「んで、俺らサッカー部を相手に注目を浴びて、部員を獲得しようって魂胆だろ?」
耕平には、ゆかりの企みなど、全てお見通しのようだ。
「ぐぬぬぬ…」
ぐうの音も出ないとは、まさにこの事だろう。
「ゆか!あんた、一体何やってんのよ」
大勢の生徒達の間から、朋美が駆け出して来る。
「んが!?朋…」
「あれ?香坂じゃん…」
「ご、ごめんなさい薬師丸くん。ゆかが、とんでもない騒ぎを起こしちゃって…」
朋美がとっさに頭を下げると、他のサッカー部員も何事かとばかりにそこへ集まって来た。
「──んだよ!俺ら、もしかして痴情のもつれに巻き込まれたって感じ?」
「おいおい、マジ勘弁!」
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