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基地の敷地は大部分が広い滑走路だ。
周囲には、格納庫。シャトルや小型探査機が格納されている。
あの小型探査機なら、五、六人は乗れる。
それに、近ごろの宇宙船は、行きさきをインプットすれば、あとはオートメーションで航行してくれる。
次に、サリーは空を見あげる。
USAの都市は、すべてドームシティだ。透明のドームが侵入物をふせいでいる。が、航空機用のハッチはある。USA機ならば無条件で通してくれる。
「見まわしたって、あんたたちは逃げられやしませんよ。立ちどまらないで、歩いてください」
ジムが背骨に、ゴリゴリ銃口を押しつける。
サリーは命じられるままに歩いた。
建物に入ると、照明がまぶしい。
複雑な、ろうかを歩いていく。
その間、サリーは、まがりかどごとに、自分の思念を残しておいた。あとになって迷っても、サイコメトリーで道をたどっていけるように。
「やはり、ヒューストンか。こんな場所に秘密研究所をかくしてるなんてね」
サリーが話しかけると、ジムは気軽に応じてきた。
サリーを完全に捕らえたと思っているのだろう。安心しきっている。
「アメリカの誇りですよ。なにしろ、人類の未来をになう研究ですからね」
前世が真也だったサリーにしてみれば、研究成果を盗用されたことを訴えたいくらいだ。が、ここは、おとなしくしておく。
そんなことより、今はジムの口から多くの情報をむしりとることが大事だ。
「じつは私も、くわしくは知らないんだがね。アメリカ政府に前から、専属セラピストにならないかと、何度も打診があった。そのことと関係してるのか?」
「では、サーは我々に協力してくださるんですか?」
「そんなふうにショックガンをつきつけといて、今さら、何を言うんだ。この状況で、私に断れるとでも?」
「その言葉、了承ととっていいですな?」
「せめて、君たちの研究内容をことこまかに教えてくれないか? 知らないことには協力しようもない」
ジムはサリーの耳元で、研究内容や事のあらましを話しだした。ほんとは、すでにサリーも知ってることばかりだ。
が、サリーは、その言葉を一字一句もらさず聞いた。
革命は、もう始まってる。
ーーオールグリーンーー
ーーGOーー
ーーGOーー
ひそかなサインとともに。
サリーは堅固な基地の奥深くへ、つれられていく。
何重ものハッチ。電子ロック。
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