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「あ、ごめんごめん、そっか、驚くよねー」
爽やかな声(げちょげちょのどこが口なのかはわからなかった)で、上司(?)のげちょげちょは明るく言う。
「いやー、ここんとこ人間と会ってなかったから、うっかりしてたよ」
げちょげちょはそう言って、すっくと立ち上がる(座っていたことも気付かなかったし、どこが足かもわからない)。
ジュウグァア゛ァァと言う謎の音と共に、げちょげちょから蒸気らしきものか沸き上がり、視界が塞がれる。
蒸気が消えるとそこには、ぞっとするほど整った顔立ちの若い男が立っていた。
男はトップモデルでも霞むような綺麗な笑みを浮かべて、俺に手を差し伸べた。
いや、手を取れるわけないよな!?さっきまでそこにいたのは、なんだか良くわからないげちょげちょだったんだぜ!?
怯える俺を気にした様子もなく、げちょげちょだった男は、内阿椎、と名乗った。
「うちの部署、ナイアって名字が僕のほかも居るからさ、僕のことは、椎か、課長って呼んでくれる?」
「は…はい…」
「やー、君が来てくれて良かったよー。やっぱり人間も居てくれないとさー、なにかと不自由なんだよねー。どうしてもほら、人間らしい考え方ってのと、僕らの考え方がずれちゃっててねー」
軽い口調で言うげちょげちょ改め椎課長の言葉は、突っ込み所が多過ぎてもうどうして良いのかわからない。
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