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「つべこべ言うでない。そなたが勇者だと言っておるのだから、そなたは黙って魔王を倒して来れば良いのだ」
……この国のロイヤルどもが、まともな頭を持っていれば、だが。
「だから戦えないと」
「戦えずとも戦え!そなたそれでも勇者か!!」
「さっきから勇者じゃないって言ってるじゃないですか!!」
「あなたが勇者です!!」
「うるせえ!!」
もうやだこの国!!
怒りのあまり理性をかなぐり捨てたぼくは、阿呆な皇帝と大神官に怒鳴り返した。
頭空っぽなロイヤルどもが、ざわざわと騒ぐ。
「無礼な!!」
「待って下さい!彼が勇者なのです!彼のほかに、魔王を倒せる者はいません!!」
ついに剣を抜いた右か左かわからない将軍を、立ち上がった大神官が止める。
「だからぼくは勇者じゃねえよ!ぼくに魔王なんか倒せるわけねえだろ!!」
「皇帝の御前でなんたる無礼を!」
「あなたが勇者なのです!!」
があんっ!!
騒然となりかけた謁見の間に、凄まじい打撃音が響く。
「鎮まれ」
殺気立った低い声は水を打ったように場を鎮め、その場の視線が声の主、皇帝に向かった。
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