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ぼくの言葉に若干片目をすがめつつも、ちょびひげオヤジは大仰に答えた。
「神殿の託宣により、そなたが勇者の器を持つ者であると判明した。で、あるからして、そなたにはこれより、魔王討伐の行軍に参加して貰う」
「んな馬鹿な」
二回聞いても意味不明な内容で、思わずぽろりと本音が出る。
ロイヤルストレートフラッシュたちの各所で、眉を寄せたり跳ね上げたりする光景が目撃される。
しかしそこで折れるわけにも行かないので、無礼を謝罪してから発言を続けた。
「わたくしめはなんの戦う術も持たない、単なる木工職人でございます。そんなわたくしめが、勇者などと言う大層な存在であるはずがありましょうか。だれか、ほかの方と、取り違えてはおりませんか?」
相手に口を挟まれずに言いきれば、随所から確かに、と言う声が聞こえた。
よし。キマった。
ぼくがそう言って、安堵しかけたときだった。
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