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このままでは、戦えもしないのに勇者にされてしまう。
なりふりも構わず、ぼくは反論した。
「待って下さい!なぜ、ぼくが勇者だとわかるのです!?あなたとは、今日ここで初めて顔を合わせたでしょう」
ぼくの発言に振り向いた大神官は、きっぱりと答えた。
「勘です!」
ふざけんなお前!!
「勘か」
「勘です」
堂々と馬鹿げたことをほざく大神官に、至極真面目に皇帝は対応している。
「ならば、確かだな」
「……は?」
なに言ってんのこのおっさん。
納得したように頷く皇帝に、開いた口が塞がらない。
大神官もなんで、したり顔で頷き返してんだよ。
周りのロイヤルどもも、なんで、大神官さまがそう言うならみたいな顔になってんだよ!?
嫌だ!この国、嫌だ!!
皇帝が、威厳たっぷりな顔でぼくを見る。けど、ぼくからは皇帝に対する敬意なんてもう微塵もなくなっていた。
だって、勘だよ、勘。
ナンナノコノヒトタチ。
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