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「そなた」
「陛下、」
「よい。彼の者こそ、我らが希望だ」
ぼくに直接声を掛けようとした皇帝を補佐官が止めようとしたが、皇帝は構わないと首を振ってぼくを見据えた。
「神殿の託宣は、絶対だ。そなたが勇者であることは、間違いのない事実」
「ですがわたくしは、戦うことなど……なにかの間違いです!」
皇帝に睨まれて、びくりと身を震わせる。
「大神官がそうだと言っておる。間違いなわけがあるか」
その糞野郎は勘だとほざいてるじゃねえか!そんな曖昧なもんでひとの人生左右するんじゃねえ!!
無言でも、不服は伝わったのだろう。
不機嫌そうに目を細めた皇帝が、重々しい声を出した。
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