11人が本棚に入れています
本棚に追加
その日、我が家で散々飲み食いしてユウは帰って行った。
そんなこんなで、あとはしばらく何もないまま、あたしたちは高校3年生になった。そして、まるで腐れ縁みたく、ユウと同じクラス。翔くんも。
最後のチャレンジになるからって、バスケ部在籍の3年生は忙しくなった。
そして大会直前、翔くんが、バスケ部女子キャプテン・杉原さんからチューされるという事件が起こった。
案の定、すずリンは激怒したようで。あの性格じゃ、たとえ不意打ちで相手からされたものだとしても、すんなりとは許さないな~。
すずリンには、里奈たちからはじかれてひとりぼっちになってしまったあたしを救ってくれたという恩がある。
そして、あたしの高校生活を楽しいものにしてくれた感謝の気持ちがある。
あたしはユウと相談して、翔くんにこれ以上女の子が近づけないようにガード線を張ることにした。
これくらいしかできないけれど、受けた恩は犬でも返すんだから。
で、結局すずリンは、翔くんにとんでもないことを言ったようだ。
相変わらず、あの子、面白いわ。
「Y高に勝てなかったら、100日間、口利かないって。それって、すごいペナルティ」
開いた口が閉じないとはこういうことを言うのか、とあたしはそれくらい呆れた。
だいたい普通なら、その100日間のうちに彼氏が他の女の子に走ってしまうのではないか、と心配になるはずなのに、すずリンは翔くんの気持ちが自分から離れないって信じているようなのだから、ある意味あっぱれだ。
最初のコメントを投稿しよう!