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で、現在に至る。
勝つかよ、本当に。あんな強豪校に。
いま、あたしの隣にはユウがいる。
見慣れ過ぎた顔は、イケメンとはほど遠い。
けど、案外愛嬌のある顔をしている。
幼なじみ→友だち→恋人。
これって、女の子たちがキャーキャー言って萌えるシチュエーションだよな~。
ユウの顔が近づいてくる。
目、とっとと瞑ろう。照れくさくて笑っちゃうから。
でも、ユウとキスをしたら、落ち着いた、ほんわかした気持ちになる。
気心が知れている分、トキメキはそれほどでもなくても、違った、とっても穏やかで静かな、まるでさざ波のような時間が流れるのだということを、あたしたちは恐らく互いに発見したと思う。
「もっかい、いい?」
「聞くなよ。あんた、彼氏に昇格したんだから」
「おう。キレイだな、美久」
「いまごろ何言ってんの。うちの家系は美形なんだから」
「うるせえ、知ってらぁ」
と言ってあたしの口を塞ぐユウは、案外男らしい。さすがは、キャプテン。
お姉ちゃんからは、
「お、とうとう美久、彼氏がいないからユウで手、打ったな」
と、からかわれる毎日だけど。
いま、あたしは幸せだ。
〈終わり〉
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