11人が本棚に入れています
本棚に追加
いつも行くカラオケボックスの向かいに本屋があって、そこが待ち合わせの場所。ユウはもう来ていた。
「あれ? ゴリランは?」
「呼んでない」
「は? ふたりで?」
「いいだろ、別に」
「あんた、抜け駆け?」
ちょっと前、あたしをファミレスに呼び出して、ユウとゴリランがふたりして、つきあってくれって同時に手を差し出した。
お見合い番組みたいに。
あたしはふたりともふったんだけど。
ユウは悪びれもせず、
「そうだよ。俺、抜け駆けするから」
だって。
「翔太郎を見習うことにしたんだよ。鈴ちゃんのこと、何度か断られていたけど、諦めなかったからね。いまじゃラブラブじゃないか、あいつら」
あたしは年上が好きなんだけどな~。
「正直、ユウと恋人同士になるとか、ぜんぜん想像できないんだけど」
「だよな。小さい頃から、そういうのとは無縁で来たからな、俺たち」
「うん。どっちかというと、兄妹みたいな? 一緒に風呂入れって言われたら、入れるかもしんない、いまだに」
「さすがにそれは無理だな。何するかわかんねえぞ、俺、男だよ」
「だよね。わかってるんだけど、男として見れないっていうか…」
「随分、ひどいな」
ユウが、ハーっと息を吐いた。
最初のコメントを投稿しよう!