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「マジ?」
「マジで義理だから」
「わかった、わかった。サンキュー」
「これで2個になったね」
「おう。有難や、有難や。翔太郎なんか、鈴ちゃんからもらえなかったって拗ねてんだぞ、今日」
あたしは、すずリンから、翔くんの妹と一緒に誕生日も兼ねたサプライズを準備していることを聞いていたけれど、
「へ~、そうなんだ。すずリンも変わってるからな~」
と濁しておいた。
送っていく、と言われ、暗かったし家も近いのでそうしてもらうことにした。
「お茶でも飲んでく?」
と軽い気持ちで誘うと、
「いいの? おばさんたちにも久しぶりに会いたいし」
と、自分の家みたいに上がり込む。お母さんも喜んでいる。
「あら、ユウくん久しぶりね。また背が伸びたんじゃない?」
お茶とかお菓子とかたくさん出して、これも食べなさい、あれも食べなさいと、まるで親戚の子供が遊びに来たような状態になった。
大学2年のうちのお姉ちゃんが帰ってきて、バレンタインデーにうちにいるユウを見て、
「何、あんたたち、ついにつきあい出したの?」
とびっくりしてあたしたちの顔を見比べた。
「違う、違う。モテない男に義理チョコを恵んでやったのよ」
「あら、そうなの。あんた、高望みしてないで、この辺で手、打っといたら? 彼氏がいないよりもマシでしょう?」
…随分、ユウに失礼なことを言っていないか? お姉ちゃん。
「いないよりもマシだからつきあうっていうのもね~」
ユウも苦笑いだ。
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