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でも、あたしにもある条件が降りかかってこようとは夢にも思っていなかった。
大会がはじまる3日前のことだった。
ユウに呼ばれた校舎の裏。
「何?」
「今回のインターハイ予選、Y高に勝つと思う? 負けると思う?」
「負けると思う。うちの学校じゃ、全国大会で優秀な成績収めている強豪校に、とてもじゃないけど歯が立たないと思うよ、正直。すずリンと翔くんには悪いけど」
「だよな。でも、奇跡って信じる?」
「は? ファンタジーな小説でも読んだの?」
ユウは首を横に振った。
「俺さ、信じようと思う」
「あ、そ。ご自由にどうぞ」
「うん。おまえは、負ける方に賭けろ。俺は、勝つ方に賭ける」
「賭けるって、何を賭けるの?」
ユウが、真っ直ぐあたしの目を見つめた。あんまり見慣れた顔で、ドキッともしないけど、ちょっといつもと違う雰囲気は感じた。
「Y高に勝ったら、俺とつきあって」
何を言い出すかと思ったら。
「いいよ」
まあ、どのみち勝てないでしょ。やる気を最大限に引き出してもらって、思う存分、悔いのないように戦って。
そう思ったから、いいよ、と答えた。
「観に来てよ、試合」
「わかった。全部観に行ってやるよ」
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