僕と先輩

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そのあとは、幸せな日々へと戻っていった。 無事、京介さんは大学に合格を果たした。 それからは、大学生と高校生と言うことで なかなか、会えなかったり、 会えたときには、凄く甘やかされていた。 時がたつのは、速く。 僕は、高校を卒業の時を迎えようとしていた。 京介さんも、二十歳になって、どんどん格好良くなっていく。 大学でモテるみたい、そんな不安も 『今は、凛がいれば幸せだ』 京介さんの言葉で一喜一憂している 自分がいた。 そして、僕は、高校卒業が決まり、 大学も決まった。 京介さんと同じ大学に行きたかったけど、 少し家から遠く、学びたい学部がなくて、 親や先生と話し合い 家から近い、実績のある大学に決めた。 これからも、幸せな時を刻んでいくものだと このときの僕は、思っていた。        卒業の日 「凛、卒業おめでとう」 「ありがとうございます」 「お前、何で泣いてんの」 「だって、本当に、卒業、出来たんだと、 思って、それに、寂しくて」 「そっか、でも、めでたいことなんだぞ」 泣いている僕をそっと慰めてくれた。 ここまでは、僕の知っていた。 京介さん、だった……はず。 今でも、はっきり覚えている。 それは、卒業式の翌日の事だった。 お昼前の出来事。 京介さんからの着信が来て、 それだけで嬉しく、携帯に出た。 「京介さん、どうしたんですか?」 「……」 「京介さん?」 嫌な予感が頭を過った。 「なぁ、凛、よく聞いて欲しいんだけど」 「何ですか?」 「凛、……別れよっか」 その言葉の衝撃に、僕は、絶句していた。 「凛、聞いてるか」 「何でですか? 僕の事、嫌いになりましたか? それだったら、全部直すから言ってください」 「お前を嫌いになるはず無いだろう」 「じゃあ、どうしてですか? 理由を話してください」 「いつか、話すから」 「いつかじゃなくて、今は話して下さい」 僕は、いつの間にか、泣き叫んでいた。 別れたくない、一緒に居たい。 その事しか頭になかった。 「京介さん!! 答えて下さい!」 「ごめんな、凛。 全部俺が悪いんだ、お前は悪くない。 じゃあ、切るな」 「待って下さい、京介さん!!」 携帯が切られた。 あまりにも突然すぎて、何も出来ず、 泣くことしか出来なかった。 とても苦しかった。
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