僕と守りたい人

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あれは、 輝が二歳、慶が一歳になったばかりの頃。 僕も、仕事に慣れてきた頃。 何もかもが、順風満帆だった。 あの時、までは……。 その時、僕は、仕事をしていた。 あの時は、秘書が血相をかいて走ってきた。 「凛様!!」 「どうしたの、慌てて」 「今、奥様が事故に遭われたと連絡が!!」 「えっ」 「表に車をまわさせました。 だから、早く病院に行ってください」 聞いたときは、驚いただけでは表せないほど、焦っていた。 そして、自然と走っていた。 紗代の無事だけを祈り、病院に向かった。        病院へ 「はぁ、はぁ、はぁ」 「あっ、凛」 「母さん。 紗代は、紗代は、無事なの」 「それがまだなの」 手術中のランプがついていた。 「紗代……。 そういえば、輝と慶は! でも、紗代が事故に遭ったって」 「輝と慶は、紗代ちゃんのお母さん達に面倒見てもらって、 それで、その言葉に甘えて、二人でお出かけして、けど、紗代ちゃん。 忘れ物に気づいて一旦、家に戻る途中で事故に遭った見たいで 運転手の人は、打撲とか命に別状無いみたいなんだけど」 「そっか」 僕が病院について、三十分が経過したとき 手術中のランプが消え、中から先生が出てきた。 「あの、紗代は……」 「すいません、力及ばず」 「……、紗代が……」 僕は、膝から崩れ落ちた。 信じたくなかった、紗代が死んだなんて……。
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