僕と先輩

3/12
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
一目惚れしたからと言って、 アプローチなどをするわけでもなく。 ただただ見ていた。 人望もあって、学力もあって、運動神経もよくて、何もかもが完璧だった。 僕とは、違う そう思った。 そして、学校にも慣れて、それなりに友達も出来た。 京介さんとの接点も無いままで、 きっと、片想いで終わってしまうと分かっていた。      そんな、ある日 あの日は、最悪の日になるはずだった。 朝から、両親が弟・悠真(ユウマ)の事を 『使い物にならなそうだ』 そんなことを聞いてしまった。 悠真は、病弱で家に居ることが多い。 それに、本人も好んで熱を出したりしていない。 まだ、悠真は三歳で甘えたい盛りなのに――。 自分でも、どうしたらいいのか、分からなかった。 その事を考えながら、過ごしていると あっという間に下校時刻になった。 帰ろうと、階段をおりていると、階段を踏み外し、落ちてしまった。 落ちたといっても、六段くらいから、驚きはしたが大丈夫だと思って、立ち上がろうとすると……。 「痛っ」 左足に痛みを感じた。 「最悪だ」 足を捻ったみたいだ。 もう一度、立とうとしたが、 痛みで立ち上がる事ができなかった。 どうしようと思っていると……。 「座り込んで、どうしたんだ」 そこには、階段を駆け上がって来た 京介さんがいた。 「足、押さえて、捻ったのか?」 「えっと、あの……」
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!