僕と先輩

8/12
前へ
/34ページ
次へ
そして、恋人同士になった。 毎日が幸せだった。 受験生で、医学部志望の京介さんは、 大変そうだったけど、 ちゃんと、僕の相手もしてくれた。 一緒に京介さんの家で勉強会したり、デートしたり 受験が近づいてくると、図書館デートばかりだった。 デートと言っても、図書館で勉強するだけ でも、そんな些細なことが嬉しくて幸せだった。 そんな時だった。 付き合って、半年がたった頃。 京介さんが、気分転換にどこか行くかと デートに誘ってくれた。 僕は、それが楽しみでうきうきしていた。      学校の帰り道 「京介さん、どこ行きましょうか? 遊園地、動物園とかベタに映画とかですか?」 「……」 「京介さん、どうしたんですか?」 「えっ、何」 「ボーッとし過ぎですよ。 勉強のし過ぎで寝てないとかですか?」 「いや、ちゃんと寝てる」 何か、上の空だなぁ。 もしかして、気分転換にと思ってデートに 誘ったけど、やっぱり気分が変わったって 僕に、なんて切り出せばいいか迷ってるとか。 僕、勝手にうきうきしてたから、 言えないでいるのかな? だったら、僕の方からデート断るしか ないのかな? 凄く残念だけど、仕方ないよな。 これも、京介さんの為だし……。 「デート、止めますか?」 「何だよ、いきなり」 「京介さん、上の空だし、デートしたく ないんですよね」 僕の頭を撫でながら 「そんなわけあるか」 「本当ですか?」 「あぁ」 何か、空返事な気がする。 気分転換にどこか行くかって言うのは、僕とじゃないのかもしれない。 つぶやくように言ってたし、僕の勘違いなのかな? やっぱり、僕が幸せでも、京介さんにとっては迷惑なのかな? 側に居たいと思って、隣に居るけど、 それが迷惑になってるのかな? もっと、控えるべきだったよな。 そうだよな、京介さん、受験生だし、 僕の事、本当は構ってる暇ないよな。 京介さんと会うの、控えようかな。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加