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 中学生になったばかりの少年:陸人(りくと)は、早くも壁にぶち当たっていた。  気ままに遊んで過ごせていた小学生の頃とは異なり、中学生になると科目数も多くなり、学習量は一気に増大する。  あっという間に授業についてゆけなくなり、慌てて塾通いを始めたものの、連日の宿題と塾通いに調子を乱され、勉強漬けの日々にすっかり嫌気がさしてしまっていた。  陸人の両親は息子の教育に関して口うるさくはなかったが、勉学が将来の役に立つという確固たる信念を持っており、常日頃から陸人には勉強をしっかりやるよう言い聞かせていた。  陸人が学業に真面目に励むことは両親の願いであり、暗黙のうちにかけられている期待そのものであり、多大なるプレッシャーでもあった。
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