再会

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ウチはそもそもパーティーの形態が特殊すぎて比べる競合相手がいないので前線組の中では例外とするが、特殊といえば、意外なところでアルマダが率いる無敵の盾は、緩いを通り越してガバガバと言ってもいい運営形態を取っている。 無敵の盾にはそもそもレべリングのノルマなどというものはなく、ボス戦や主要な攻略などに参加させるメンバーは腕に覚えのある人間を上位の幹部メンバーが選抜しているらしい。 巨大で、なおかつ統率も軍隊と呼べるほどに厳しい無敵の盾がなぜ普通ならレベル制MMOにおいて最も重要なステータスであるレベルを軽視するかの理由は、単純にギルドか巨大すぎるが故だ。 二百人を優に超える構成員を抱える無敵の盾だが、ディエゴの言うところによると構成員が多すぎて「いちいちレベルの管理までしてたら幹部が過労死する」とのことらしい。 サボりの常習犯であるディエゴが使うと過労死という言葉がやけに胡散臭く聞こえるが、念の為マルティウスやメディナ、トレドに確認を取ったところ三人が三人勢いよく首を縦に振っていた。 運営形態はともかく、幹部連中にしてみれば無敵の盾も中々にブラック気質らしい。 「レベルのノルマは特に決めることのほどじゃないし……攻略ダンジョンも差し当たって急ぎで攻略しなきゃいけないダンジョンはないし、とりあえず大丈夫かな」 と、テーブルの上に置いた羊皮紙にサラサラと羽根ペンで要点を書き出していくルナの言葉に何か引っかかりを覚えたのか、今度はマリアさんが手を挙げる。 「ダンジョン攻略をしないって、このまま≪ヘルメス≫に行くんじゃないの?」 「うん。やっぱりこのあいだの攻略で現状の戦力での箱庭の攻略はまだ難しいっていう話になってね。 剣闘士なんかにはかなりの損害も出たし、ここは一回箱庭の攻略は中止して地上で堅実に力を蓄えようっていうことになったの」 「ああ、なるほど……まあ、確かにそっちの方が賢明ね」 「で、地上の方の攻略は元々前線組予備軍のギルド人達とかに任せたわけだし、暇になったからって前線組が横入りするのは筋が通らないっていう理由で却下。 だからまあ、余程何かない限りは箱庭に行った私達、剣闘士、楽園、無敵の盾は待機という名の貯蓄期間かな」
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