再会

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ルナがそう言うと、マリアさんとリリアさんの二人も納得したように頷き、テーブルの上の羊皮紙に「攻略ダンジョン 特に無し」という一文が追加される。 「それと、貯蓄とは別にもう一個、攻略に参加できない理由があるしね」 「……そっか、武器ね?」 付け加えられた一言になるほどと頷いたマリアさんの目配せを受けて、俺はストレージを操作して一つのアイテムをオブジェクト化する。 しゅわっという音を立てて出現した、黒革の鞘に収められた銀の柄は俺の相棒、≪パラティウム・クロス≫ーーの成れの果て。 鞘から柄を引き抜くと、中程から立ち折れ、半分の長さになった刀身が姿を現した。 「そうね……このあいだの戦いで折れたんだったわね」 「すみません……俺が無茶な戦い方をしたばっかりに……」 折れた刀身を見た瞬間、セブンがひっと引きつった悲鳴を上げかけたがどうにか飲み込み、マリアさんがほんの少し悲しそうに目を伏せて愛剣を拾い上げる。 居た堪れなくなって謝罪をすると、マリアさんは気にするなと首を横に振った。 「ライト君のせいじゃないわ。むしろレベル10代から30まで、よく保った方よ。ライト君はまずは武器を新調しなきゃね」 「新調……? 修理だとダメなんですか?」 「そりゃダメよ。レベルが上がるにつれてステータスも上がっていくし、いつまでもステータスの低い武器を使ってたら武器の方が足を引っ張っちゃうわ」 新調という言葉に声を上げたセブンに、マリアさんが優しくレクチャーする。 確かに俺もこれまで色々と工夫をして使い続けてきた手前一度は修理を考えたが、その案は俺の工夫のことを知ったルナにより断固却下され、新調することへと相成った次第である。 「まあ、誰かさんはこの剣を長く使えるようにステータスポイントを振らないで相当溜め込んだみたいだけど?」 「うぐっ……!?」 ーーバレてるしーー あっさりと工夫の内容を見破られ、思わず息を呑む。 そう、序盤の急激なレベルアップにより大量のステータスポイントが大量に溜まったものの、それらを割り振ると今の装備が使えなくなる可能性を考慮してレベル20代前半からこれまで、レベルが上がるごとに手に入るステータスポイントをあえて振らず、そのまま溜め込むことでステータスの上昇を抑えていたのだ。
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