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「一任……って、NOAH側のスタッフはあなたしかいないってこと……?」
これには流石のマリアさんも驚きを隠すことも出来ず、目を見開く。
ヘスティアーはそんなマリアさんの反応を見ても特に何も言わず、ただこくりと頷く。
正直なところ、アナザーワールド内での動画撮影という話を聞いた時点で、俺の頭の中では真っ先に彼女が思い浮かんだ。
それは俺がNOAH側の人間などゼウスとヘスティアーの二人しか知らないからというのもあるが、彼女が以前の戦いでボス戦の模様を外部に流す場面に直接立会い、更には死闘を繰り広げたというのもある。
要するに、俺の中で撮影とヘスティアーとのイメージの結び付きが強かったのだ。
しかし、彼女はGMの一人で、企業の内部でもそれなりの立場にいるであろう人物。
まさか彼女が直接出張ってくることはなかろうと思っていたが、その予想を裏切り、あまつさえ人員の派遣が彼女一人だけというのは流石に想定外。寝耳に水と言う話だ。
「そうなりますね。≪ヘスティアー≫が攻略された時点で私のGMとしての仕事はひと段落ついて、手が空いたと言うのもありますが、さっきも言った通り撮影アイテムだとかの撮影関連のシステムは私が構築したので、あまりぞろぞろと人員を派遣するよりは専門の人間一人を派遣した方が良いという判断のようですね」
「仕事に関してはキチンと責任を持って取り組むので、ご安心くださって大丈夫です」と最後に付け加えると、ヘスティアーはこちらを安心させるかのように微笑みを強くする。
まあ、NOAHが技術的に彼女一人で十分と判断したのならこちらが何かを言えるような立場ではないし、そもそも言えるだけの知識も技術もないのでどうしようもないのだが、それはマリアさんも同意見のようで驚きつつも了解の意を示した。
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