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「すみません、ちょっとこっちでお話いいですか?」
「……はい?」
その後、ざっくりとしたしばらくの行動指針を取り決めてから新たにパーティーに加わったセブンと交流を深めようということで街に出て、俺は現在商業区を色々と歩き回りながら女子達のウィンドウショッピングに付き合っている。
もうすっかり打ち解けたのか、和気藹々と楽しそうに私服にするらしい服を選び合っているルナとセブンを少し離れた所からぼへーっと眺めていると、不意に羽織っていた私服の上着の裾を控えめに引かれた。
裾を引いてきた人物ーーリリアさんは何やら真剣な表情でルナとセブン達から死角になる一軒の屋台を指差し、こっちに来いとばかりにくいくいと引っ張ってくる。
とりあえず一度ルナ達に視線を向け、服選びに夢中になっていることを確認すると、服を引くリリアさんの力に任せ屋台の陰に入った。
「それで、話っていうのは?」
突然女子に人気のないところに呼び出される、あるいは連れ込まれるというイベントは、健全な男子なら甘酸っぱい期待をしかねない危険なものだが、まあルナを溺愛するリリアさんに限ってそんな意図はなかろう。
単刀直入に話とやらに切れ込むと、リリアさんは何やら真剣な表情を崩さず、口を開いた。
「突然なんですけど、九月九日って何の日かご存知ですか?」
「九月九日、ですか……? えっと、確か九が二つあるのに掛けて救急の日でしたっけ。救急業務や医療について一般の知識と理解を深めて士気を上げるための日です」
あとは大昔の話になるがノストラダムスの終末の予言が1999年9月9日だったことから世界占いの日だったり、木星の衛星アマルテアが発見された日だったりするのだが、それを言うとリリアさんに「そういうことが聞きたいんじゃないんですよ」と言わんばかりの呆れの視線を向けられた。
まあ、当たり前だがどうやら違ったらしい。
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