3855人が本棚に入れています
本棚に追加
「というか、やっぱり聞いてないんですね……」
「その日、何かあるんですか?」
九月九日というと、今日からあと三日後の
特に祝日などもない、至って普通の金曜日。
特にこれといって学校の行事があったりするようなこともなかったはずだし、いつもと変わらない一日になる筈なのだが、何があるというのだろうか。
リリアさんが「聞いていない」と言っているあたり少なからず俺達に関係するイベントが何かしらあるのかもしれないが、今の所は特に何も連絡はないし、とんと心当たりのない俺はただ首を傾げる。
「いえ……ところで雷翔さんは美月の誕生日って知ってます?」
「誕生日、ですか? そういえば特に聞いたことはありませんけど……もしかして?」
話の流れでようやく得心がいって、念の為尋ねてみるとリリアさんはゆっくりと首を縦に振る。
なるほど、これまで聞いたことがなかったが、どうやらその日はルナこと輝宮美月がこの世に生まれ出た誕生日らしい。
そう言われてみれば、彼女の携帯端末のアドレスの中に0909という4ケタの数字が並んでいたような気もする。
今まではなんの数字だろうなどと思ってメールのやり取りをしていたが、確かに誕生日などの数字をアドレスに入れるのは凝ったアドレスを作るのが面倒な時などに誰でもやることだ。というか俺もやっている。
むしろなぜ今までの俺は気付かなかったのか。
「というか、俺より誕生日遅かったのか……このゲームのレーティングって……」
「レーティングなんて守る人の方が少ないでしょう。そんなの往年のハンティングゲームが遥か昔に証明してますよ。
それにセブンさんだってまだ中学三年生ですからね?」
「まあ、それもそうですけど。てっきり誕生日なんてもうとっくに過ぎ去ってるものと思ってましたよ」
「ふふ、ああ見えてまだ十五歳なんですよ。今からあんなに育ってるなんて、将来が楽しみじゃありません?」
なぜだろう、どことなくリリアさんに親父臭さを感じてしまうのは。
最初のコメントを投稿しよう!