プロローグ

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ただまあ、頼られたならそれなりに応えねばなるまい。 セブンの腰に差してあるショートソードから、接近戦メインのアタッカー志望だろうと知り合いのギルドの名前を提示してみる。 まだログインしたばかりだという話だし、流石にレベル的に楽園に参加は出来ないだろうが、キースに話をつけてもらって傘下のギルドに入れてもらうこともできなくはないし、楽園は傘下ギルドで優秀な人材がいたら本丸の方にスカウトすることもあると聞いたことがあるので、彼女の努力次第ではあるがゆくゆくは楽園所属に出世することも可能だろう。 剣闘士はそもそもあまり加入の条件は厳しくないらしいし、入るだけならそれなりにレベルを上げるなりトゥラケスに実力を見せるなりすれば楽園に直接入るよりはハードルは高くない。 流石に年頃の少女にあの漢臭い軍隊系ギルドを紹介するのは気が引けたので今は省いたが、最悪アルマダに事情を説明すれば一時的に預かりくらいの扱いにはしてくれるはずだ。 それに、何もいきなり上層ギルドに入らずともセブンはこの世界において圧倒的に少ない女性プレイヤーで、更に控えめに言ってもルナやリリアさんとはまた違った系統の可愛らしい美少女。 多少名前さえ知れればマスコット的な存在として引く手数多になるだろう。 最も、俺は以前にルナのことで少しばかりあったのでマスコット的な扱いにするのは賛同しかねるが。 「一つ誤解しないで聞いて欲しいのは、俺達が君のことを拒むつもりがないっていうこと。 俺達は……いや、俺は基本的に爪弾き者だし、攻略に関しての発言権は無いに等しい。それに、これは多分だけど、今の前線の人達以外のプレイヤーからしたら目の上のタンコブもいいところだと思う。もしかしたら前線組の中のプレイヤーにも俺を嫌ってる人がいるかもしれない」 というか、確実に居るだろう。 あちらが必死に攻略を進めてきたところに、ボス戦になるといきなり飛び込んできてMVPやらラストアタックやらの貴重なリソースを奪い取っていく。 これで誰も彼もが俺を受け入れてくれてるなどという都合のいい解釈ができるほど幸せな精神性は持ち合わせていない。
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