寝坊は許さない

12/22
前へ
/23ページ
次へ
マンションに辿り着き、エントランスに入ろうとすると、 「あの…」 背後から声をかけられた。 女性の声だ。 振り向くとそこには、 俺の理想を絵に描いたような、 上品で美しくたおやかな雰囲気の若い女性が、立っていた。 「あの…失礼ですが…○○商事の大野さまですよね?私、藤田ちさとと申します。藤田富士太の娘です。父に、このマンションまで着替えを持ってくるよう言われまして…」 「ふふふ藤田係長のおおお嬢さん!?…おお俺の…僕の顔と名前、何故知ってるんですか?」 「はい。今年4回めの遅刻をして今日からわたしの部下になる大野くんだよ、と、父が今朝、私に大野さんのお写真を見せてくれましたので。」 係長、会社の話をいちいち家族にするなよー。 でもこの美しい女性が、ふじたふじた係長の娘…信じられない。 もしかしたら、係長とは血がつながっていないのかも。 うん、そうだ。そうに決まってる! 「正真正銘、血をわけた我が子ですけど?」 「うわっ!係長っ!」 「あっ、お父さんっ」 ふじたふじた係長が、 またいきなり目の前に現れた。 追いつかれてしまった…。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加