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マンションに辿り着き、エントランスに入ろうとすると、
「あの…」
背後から声をかけられた。
女性の声だ。
振り向くとそこには、
俺の理想を絵に描いたような、
上品で美しくたおやかな雰囲気の若い女性が、立っていた。
「あの…失礼ですが…○○商事の大野さまですよね?私、藤田ちさとと申します。藤田富士太の娘です。父に、このマンションまで着替えを持ってくるよう言われまして…」
「ふふふ藤田係長のおおお嬢さん!?…おお俺の…僕の顔と名前、何故知ってるんですか?」
「はい。今年4回めの遅刻をして今日からわたしの部下になる大野くんだよ、と、父が今朝、私に大野さんのお写真を見せてくれましたので。」
係長、会社の話をいちいち家族にするなよー。
でもこの美しい女性が、ふじたふじた係長の娘…信じられない。
もしかしたら、係長とは血がつながっていないのかも。
うん、そうだ。そうに決まってる!
「正真正銘、血をわけた我が子ですけど?」
「うわっ!係長っ!」
「あっ、お父さんっ」
ふじたふじた係長が、
またいきなり目の前に現れた。
追いつかれてしまった…。
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