寝坊は許さない

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「君が今年4回めの遅刻をした大野くんか…君、今、わたしの名前をみて、まえだまえだみたいだと笑っただろ…」 いつの間にか、 ひとりの中年男性が、 俺の背後に立っていた。 こ、こいつ、俺の心が読めるのか? 振り向きざまに、 「はい、大野です。よろしくお願いしますっ」 と、わざと溌剌と挨拶してみた。 が、藤田係長は、窓際にある鉢植えに水をやりながら、 「えっと、今年4回めの遅刻をした大野くん。この課は、わたしと君だけだから。他に課員はいないからね。雑用もやってもらうからね。」 と言った。 「え…でも藤田係長は第一係長ですから、当然、第二係長もいらっしゃるのでは」 俺は素朴な疑問を言葉にした。
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