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輝く刀で円弧を描き、顔の横でピタリと構える。
紙と見まがう薄い刀身、月光が顔をぼやりと照らす。
ほほう、辻斬りの眉がピクリと動く。
「子供……、おなごか」
辻斬りは刀を払い、血を飛ばした。
「柔らかそうだ。どれ、斬らせてみろ」
舌なめずりをする。両腕を広げて猫背になり、右手の刀を握りなおす。
じりじりじりとにじり寄る。
少女は微動だにせず細い息を一つ、それから一言呟いた。
「斬鉄の心得」
胸の内で「いろは」を確認する。
足を一歩すっと投げ出す。
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