ドウセツ

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一足一刀の間合いから、辻斬りは横薙ぎに刀を繰り出す。 はあっ、と発気一声、振り抜いた。 しかし空振りである。 あ……? 手ごたえのない疑問を声に出す間もなく、右手の先に人影と月明りを見た。 「やっ!」 刀を一振り、下から上に撫で上げる。 斬ったのは、刀だ。辻斬りの刀だ。 “のみ”で軟鉄を彫る感触と同じ。 しいん、という滑らかな斬鉄音。 金属が揺れる、きいん、という響く音は一切含まれない。 刀身は半分になり、刀の先は土の地面に転がった。 辻斬りはあっけにとられている。 薄ら光る刀を鞘に納める。 踵を返そうとした瞬間だった。 きええ、という声がした。 振り返ると、辻斬りが斬られた刀を振り下ろしている。
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