ドウセツ

5/24
前へ
/99ページ
次へ
とっさに身体を曲げた。 辻斬りの刀が短いことが幸いし、左腕に一筋、刀傷を浴びただけで済む。 十歩も後ろへ飛び、間合いを空けると慌てて刀を抜いた。 「あっ!」 少女はしまった、と後悔する。 うすい杉の板が折れるのと似た、あっけない音がした。 少女の刀も折れたのである。抜刀に失敗、鞘に折られたのだ。 辻斬りは半狂乱で向かって来る。 「妖刀ではなかったか」 歯ぎしりしながら構えなおした。 「せえい」辻斬りが振り回してくる刀を、足を使って動き避ける。 道場で指南され、鍛えた甲斐があった。 少女は一瞬の隙を見て、折れた刀を振った。
/99ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加