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とっさに身体を曲げた。
辻斬りの刀が短いことが幸いし、左腕に一筋、刀傷を浴びただけで済む。
十歩も後ろへ飛び、間合いを空けると慌てて刀を抜いた。
「あっ!」
少女はしまった、と後悔する。
うすい杉の板が折れるのと似た、あっけない音がした。
少女の刀も折れたのである。抜刀に失敗、鞘に折られたのだ。
辻斬りは半狂乱で向かって来る。
「妖刀ではなかったか」
歯ぎしりしながら構えなおした。
「せえい」辻斬りが振り回してくる刀を、足を使って動き避ける。
道場で指南され、鍛えた甲斐があった。
少女は一瞬の隙を見て、折れた刀を振った。
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