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私達はクロークでコートを預けると、大きな扉を開け、中に入った。
毎年思うが、この日の講堂はまるで別世界のようだ。
中央に見上げるほどの大きなツリーが鎮座し、周りには人がたむろし、記念写真などを撮っている。
数メール離れた円周上には、ところどころにテーブルが用意され、出席者達が食事を楽しんでいた。
前方のステージには、合唱部のメンバーが美しい歌声を披露している。
賑やかで、華やかで──。
いつもは、どちらかというと殺風景な印象なのに、ここはどこかと見紛うほどだ。
「すごいな…」
中央のツリーを見上げ、斎が呟いた。
私も一緒に見上げ、得意げに自慢する。
「でしょ! これだけは、うちの生徒だけなんて勿体ないって思うんだよね」
「そうだな」
二人顔を見合わせて笑う。
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