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「…!」
暗闇になった瞬間、私の腰に腕が回され、すぐ傍らへと引き寄せられる。
左腕だけで抱きかかえられているのがわかった。
「5……4……3……」
皆はカウントダウンしていたけれど、私はそれどころではない。
斎に抱えられたまま、頭はパニックを起こしていた。
斎に抱えられることは、これまでにもあった。
しかし、そこにはいつも、何らかの理由があったのだ。
でも今は。
寒い訳でもない、こけそうになっている訳でもない。
何故なのかわからない。
どうしていいのかわからず、私は、斎に身を任せることしかできなかった。
「2……1……」
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