scene.9

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「…!」 暗闇になった瞬間、私の腰に腕が回され、すぐ傍らへと引き寄せられる。 左腕だけで抱きかかえられているのがわかった。 「5……4……3……」 皆はカウントダウンしていたけれど、私はそれどころではない。 斎に抱えられたまま、頭はパニックを起こしていた。 斎に抱えられることは、これまでにもあった。 しかし、そこにはいつも、何らかの理由があったのだ。 でも今は。 寒い訳でもない、こけそうになっている訳でもない。 何故なのかわからない。 どうしていいのかわからず、私は、斎に身を任せることしかできなかった。 「2……1……」
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