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「舞」
「ん?」
斎がふと、真剣な眼差しになって私を見た。
「いつも俺のことばかり言っているが、お前も自覚しろ」
斎の言っている意味がわからず、私は眉を顰め、首を傾げた。
「…何の?」
「…」
なかなか言おうとしない斎にしびれを切らし、私が詰め寄ろうとすると、ポケットの中の手が強く握られた。
「お前も充分目を惹くんだから、もう少し周りを気にしろ」
「え…と……それは?」
「自分で考えろ」
「…」
斎の言っている意味を理解し、顔が熱くて仕方ない。今にも火を噴きそうだ。
私はこっそりと顔を手で押さえる。
今なら、寒さで顔が火照っていることにできるかな、なんて考えていると。
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