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神崎女学院のクリスマスセレモニーは、この辺りでは割と有名だ。
お嬢様学校なだけに、行事はどれも派手にはしない方針だが、クリスマスだけは別だった。
講堂に巨大クリスマスツリーが運び込まれ、煌びやかに装飾される。
出席者はそれぞれに着飾って、立食パーティーを楽しんで、そしてそこでは合唱部のクリスマスソングメドレーが流れる。
神女の生徒達は、今回の杏奈のように予定がない限りは、大抵このパーティーに出席する。もちろん私もそうで、毎年、杏奈と一緒に楽しんでいたのだ。
このクリスマスセレモニーは外部の人間も出席することができ、外部の出席者といえば、大概は生徒の両親や兄弟姉妹が挙げられるけれど、許可さえあれば友人や彼氏もOKだ。
許可というのは学校側ではなく、生徒の両親に、という一風変わった規則で、両親が認めていれば彼氏でも問題ない。これは昔の許嫁制度からの名残なんだろう。
許可書を学校側に提出して、当日名簿をチェックしてもらえばそれで大丈夫なのだ。
「篠宮君なら、舞のご両親はクリアできるでしょ?」
「…そりゃそうだけど」
何せ小さい頃から知っているし、うちの両親はともすれば、私よりも斎を信頼しているくらいだ。
だから斎が神女に来ることに障害はない、けれど。
「来るかな…」
人が多く集まるパーティーのような場所は、どちらかというと苦手としている。しかもうちは女子校で、基本、女だらけ。
斎の見た目なら、間違いなく客寄せパンダ状態になるだろうし、純粋に楽しめない気がする。
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