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空を落ちる俺は、ラピュタの生き残りではないので途中で身体がふんわり浮いて助かるわけも無く。
高所恐怖症なのにダイブして気絶した先生のパラシュートまで開きながら空を落ちている。
走馬灯のように思い浮かぶのは、先生の漫画だった。
忍び込んだ女子更衣室のロッカーから見る桃源郷。
雪の中、二階のドアを無理に開けて飛び出す景色。
石油王の持つハレムの中でベッドのスプリングを確認する主人公。
そして世界の水の都ヴェネツィアでの煌めく水の浸食。
マーライオンを前に意外と小さくてうなだれる主人公。
ピラミッドのすぐそばにハンバーガー屋があって号泣して泣きじゃくる主人公。でもポテト美味しかったようだ。
そう。
先生の描かれる漫画は、俺が捨てられなくて泣いた童貞の日々の様に、美しいのに悲しくもありけれど嘘は無い、真実の世界を映し出していた。
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