グローバル・スランプ。

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「またパスポートがありません」 「発信器の地域拡大して」 「居ました。北緯21度18分。西経157度51分」 「調べて」 「ホノルルです。ハワイ島ホノルルです」 先生のアシスタントになって一カ月。 とうとうこの日が来たのだ。 俺は十文字チーフの自家用ジェットに乗り込んだ。 とんでもない上司は二人。 モニタールームも自家用ジェットも自腹で用意した、サウジアラビアの石油王と共同経営している実業家でもあるのに漫画家アシスタントチーフをしている十文字チーフ。 そしてスランプになると、漫画の設定と全く同じことがしたくなる先生。 俺たちはそのパスポート仕様範囲で居なくなる先生のスランプのことをこう呼ぶ。 『グローバル・スランプ』と。
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