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「もう10分だよ! もう! 10分!」
そう、もう10分なのである。
あの「とりあえず、入れば?」からもう10分。部屋に入って喋り始めようとした私に「本、キリいいところまで待って」って言ってから10分。迎え入れる気がゼロなのは重々分かったけども、もう限界なのである。
「だから、本キリのいいところまで待ってって言ったじゃん」
「キリのいいところってどこだよ? さっき、一章読み終わってたじゃん! 私、見てたんだからね!」
彼の抗議に私はすかさず反論。見ていたんだぞー。
「キリがいいっていうのは……、まあ、読み終わるまでだ」
あっぶなかった。
私がここで抗議してなかったら、あの本が読み終えられるまで私はここで待ち惚けだったのか。
「さわがしいヤツ」
ユウキは心底嫌そうな顔をしながら、そう吐き捨てた。
それにまたいらっとしたが、一応彼にモノを頼みに来ている身分なので深く息を吸って抑える。
「で、お前は何の用なの?」
面倒くさそうな表情を微塵も隠さないで、そう言った。
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