第1章

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辺りが橙色に染まり始めた。 頭を傾けて見上げれば、街並みを包む大きなスクリーンが橙色に変わり、夕刻を告げている。 僕は、街の一番端にあるスクリーンに触れた。 液晶が映し出す世界は雄大で、緑の広がった地平線と繋がる巨大な空に、神々しい太陽が夕焼けを携え、その地平線に消えて行く。 小さな太陽を人差し指で触れると、沈んでいく様を指先でなぞった。 太陽の姿がすっかり見えなくなると、東側のスクリーンからここ、西に向かって、徐々に紺色になっていく。そしていつの間にか、街に夜が訪れる。 見上げれば頭上の夜空には星が燦然と輝き、次第に、不思議と僕ら人間も、夜の世界に誘われて行く。 早く帰らないと、シスターに叱られる。僕は、教会への帰路を急いだ。 「遅かったわね。また夕日に触っていたの?」 教会に戻ると、シスターに叱られなかった代わりに、いつもの鋭い少女の声がした。 寝床に就こうとしていたので、慌てて体を起こす。 いつものように黒くて長い、綺麗な髪をした女の子が、僕の顔をじっと見ていた。 この女の子の名前は知らない。 最近新しくこの教会へやって来た孤児であり、周りを寄せ付けないような態度から、シスターも手を焼いているようだった。
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