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「ええ、大丈夫です」
僕が返事をすると、黒い陰は手を差し伸べてくるその手を握ると、力強く引っ張ってきて立ち上がるのを手伝ってくれる。
立ち上がるのにつれて、手の差出人の顔が見えてくる。髪は金髪でムダ毛などはない整った髪型で、顔もそれに負けず整っており、目の色の緑色が特徴的で、どこかの貴族ように思えた。
「それはよかった。怪我なんてしてたら大変だからね」
男は笑顔で言うと握っていた手を離した。手の中の銅貨はちゃんとあるのかを確かめられるために、手の中に力を加える。ちゃんと銅貨はあるようだ。僕は胸をそっとなで下ろした。
「ところで君、手の中にある銅貨を1日だけ貸してくれませんか?」
男は銅貨を持っている方の手に指を指した。この男が何か企んでいるのかっと疑念がわいてきた。これは、自分の全財産で簡単に渡せるものではない。
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