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こんな伝説をよく祖母に聞かされた。
かつて人類が、今より技術と科学が進歩していた、空の向こう側、星まで行っていた時代。
人類は相も変わらず戦争をしていた。
もはや何のために戦うかも忘れ、戦わなければ、もっと敵を殺さなければ、そんな使命感だけが呪縛となり人々を戦いへと駆り立てた。
そして人類はついに星ごと破壊してしまうような大量破壊兵器を生み出した。
人類が禁断の領域に踏み出した瞬間だった。
そして蒼い怪物は動き出した。
怪物の前ではどんな兵器も無力で、近づけばどんな生物だろうと命を奪われた。
ある星では七日間毒の鱗粉を振り撒き星を枯らし。ある星では干上がった海の水が二度と振らなくなるまで地上を焼き続けた。
人類の故郷である、人類がパルエと呼んでいたこの星に僅かな人類とその他の生命を封じ、人類からは技術と文明を奪い太陽と共に遠く彼方へ放った。
100年星座が変わり続けたのち、大きな地鳴りと共に星は安息の日を迎えた。
人々は怪物を空蝶(からちょう)と呼んだ。
そして今まさに私の目の前にいるのがそれのように思えた。
奴に弾丸は当たらず、近づいた機体はいつの間にか火を吹き、落ち葉ののように舞い落ちながら朽ちていった。
その蒼く美しい機体はまさしく空蝶と呼ぶに相応しかった。
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