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あまりのことに驚いて、
言葉もでずにただただゆたかくんを見詰めてた。
瞬間、妻の顔が浮かんだ。
ヒカリさんの奥さんは二人目の子供を妊娠中だった。
妻はなんていうだろう。
会社をやめるなんて無理だ。
「生活の保障はするからさ」
見透かしたように、ゆたかくんは言った。
遠くからサイレンが聞こえる。
それから、
「うそ、冗談だよ」
「え?」
「ヒカリさん、本気にしたでしょう」
ふざけんのもいい加減にしてくれよ、って。
ヒカリさんの怒った顔を、さもおかしそうに笑ったゆたかくん。
「それから明け方まで二人で飲み明かしたんだよ」
回想話が一息ついて、
ヒカリさんはすっかり冷めたコーヒーを飲んだ。
それから
「遠い昔のこと、ボクも若かった」
やっと私の顔を見て笑顔っぽくなった。
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