2話 ボクとゆたかくん 

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いつも一方的に話すヒカリさん。 私は静かに聞いている。 ヒカリさんが辛くても一番辛いのは、ゆたかくんなのだ。 ヒカリさんは、生きている。私も。 3.危険 ヒカリさんは大学を卒業してから、 証券会社に就職し結婚もした。 「家が近いのでゆたかくんとはよく会っていたんだよ」 ファーストアルバムが出て、曲がラジオで流れ、 「それからだよ、ゆたかくん人気に火がついて」 次々とリリースするアルバムは、 その都度、ヒカリさんのもとに送られてきた。 ヒカリさんは会社で忙しい毎日で、 深夜の帰宅が続いてた。 そんなある日、電話が鳴って出ると 「ひかりさん、オレ、ゆたかです」 5年ぶり? 「おー、ゆたかくん、元気そうな声だね、どうかした?」
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