2話 ボクとゆたかくん 

8/34

14人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
「それが、ちょっと頼みたいことがあって、一度会えませんか」 そう5年振りだ。 会いたい。 松濤(渋谷区)の住宅街のにある ゆたかくんの事務所を訪ねることになった。 懐かしい、はやる心を抑え、 知りつくした松濤までの道のりを最短距離で愛車をとばした。 夜の住宅街は静まり返って、 事務所の中の明かりも見えない。 電柱の明かりを頼りに、駐車場を見ると、 赤いポルシェが一台、事務所のワゴンが一台と、 その横に一台分の空きスペースがある。 そこが来客用の駐車場所だ。 そこにに車を止めると、 エンジンの音で気付いたのか、 事務所のドアがあき、ゆたかくんが顔を出した。 「ヒカリさん」 「ひさしぶりだね」 ゆたかくんは、かわらない人懐っこい笑顔で迎えてくれた。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加