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「それが、ちょっと頼みたいことがあって、一度会えませんか」
そう5年振りだ。
会いたい。
松濤(渋谷区)の住宅街のにある
ゆたかくんの事務所を訪ねることになった。
懐かしい、はやる心を抑え、
知りつくした松濤までの道のりを最短距離で愛車をとばした。
夜の住宅街は静まり返って、
事務所の中の明かりも見えない。
電柱の明かりを頼りに、駐車場を見ると、
赤いポルシェが一台、事務所のワゴンが一台と、
その横に一台分の空きスペースがある。
そこが来客用の駐車場所だ。
そこにに車を止めると、
エンジンの音で気付いたのか、
事務所のドアがあき、ゆたかくんが顔を出した。
「ヒカリさん」
「ひさしぶりだね」
ゆたかくんは、かわらない人懐っこい笑顔で迎えてくれた。
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