終章 穢れなき未来へと

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ーーー☆ーーー 放課後。午後六時。 俺は誰もいなくなった教室で机に突っ伏していた。 ああくそ。全然全くこれっぽっちも進まねえ!! 答えは一つなはずなのに……そう、そうだ、うだうだ悩んだって俺の想いは何一つ変わっちゃいねえのに、それでも確定してしまうのが嫌だと、そう思ってやがるんだ。 なんで、と。 そう自問した瞬間、何かが壊れると確信してやがる。 だから、進まねえんだ。どれだけ迂回路を通ったって最後には『ここ』で足踏みするんだから。 「これなら世界滅亡の危機にでも立ち向かっていたほうが気が楽だ……」 瞬間。 窓の外、高校近くのビル───つまりは統一政府の中枢に無数の閃光が突き刺さった。 「が、ば……っ!?」 浮かぶ、宙を舞う。いいやそれこそ薙ぎ払われると言うべきか。バリィンッ!! と一面の窓ガラスが吹き飛び、破片を撒き散らす。一番後ろの窓際という定位置のせいで暴風と無数の破片とをマトモに浴び、大の男が教室の端から端までノーバウンドで吹き飛ばされたんだ。 思いきり壁に背中を強打し、破片で全身ズタボロなんだ。思考が散り散りになるくらい錯乱して、喚き散らして、とありきたりな反応をするはずだったんだが、どうにもそんな些事に寄り道する余裕はないと分かっているのか、自分でも驚くくらい思考がクリーンであった。 そうでないと、殺されると。 致命的に手遅れになると。 本能が叫んでいるお陰だろう。 「馬鹿野郎……」 無数の閃光、すなわち魔法攻撃。 その始点、上空やら地上やらに散らばる魔法使いどもの一人。 それは、 「何をやってんだ、陽香!?」 陽香が混ざってやがった『だけでない』。 それだけならまだなんとでもできた。理由なんてさっぱりだが、統一政府の中枢に殴り込みなんて自殺行為から引きずり出して、陽香だけでも助けることはできるはずだ。 だけど、 「しかも『奴』と一緒だなんて最悪だっ。というか、くそっ! きちんと殺したはずなのに、なんで生きてんだよっ!!」 『俺を恨んでいるのは確実な』クソ魔法使いと一緒だというなら、難易度は一気に跳ね上がる。あの時は運良くぶち殺せたが、普通にやり合えば統一政府筆頭戦力だろうとも殺せるくらいのポテンシャルは秘めてやがるんだ。 「くそったれ! 確かに気が楽とは言ったが、だからって進んで死闘に身を投じてえわけじゃねえってのによお!!」
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