終章 穢れなき未来へと

25/50
前へ
/403ページ
次へ
ーーー☆ーーー 「あー駄目だ。考え纏まらねえ」 こんな時、陽香ならどうするんだろうな。 学校別々だからって、距離があるといったって、毎日電話越しでしか話せないからなあ。 陽香がこっちに転校してくるまでの辛抱だからって、『それまでわざわざ会う必要はない』なんて言うしさ。ここ一ヶ月顔すら見てねえぞ、くそ。 なんだよなんだよ、せっかく再会できたのに電話越しで満足できるのかよ……。 「ああーっ! くそったれ!! 脱線しすぎだっ」 いつまでも引き伸ばせるわけじゃない。 次雪音に会った時、あのことに言及されたら、もう『逃避』はできない。 覚悟決めろよ。 あいつとの関係を『完全に』ぶち壊す覚悟を。 「…………、くそったれ」 雪音なら、大抵のことは許してくれる。 ナンダカンダでそばにいてくれる。 ……思っていたんだろうな。だから、俺は、 「クソ野郎にもほどがある」 ーーー☆ーーー 『恋慕手繰る黒の鍵』。 魔法だけに拘らず、満足できず、飽き足らず、抑えられず、本能の赴くままにありとあらゆる『種類の』力を吸収してきた犯罪組織。様々な暴力が結集した悪意の巣窟では反乱勢力に合流『しなかった』敵対者たちが蠢いている。 第91騎士団『シルバーウルフ=デルタ』。 『緑』の県の治安維持を司る騎士団、なのだが、その実情は犯罪組織や権力者との癒着『という今の時代どこにでもある実情とさえもかけ離れた』歪みっぷりだった。だからこそ、彼女らは今日もまた足を踏み外す。 反乱軍勢。 反乱軍、新生反乱軍の残党によって組織された敗者の寄せ集め……だけでは終わらない。確かに構成員のほとんどは敗者どもなのだろうが、その中心に据えるは世界を覆しかねない秘奥であった。 『バスターレヴィ』。 分子の性質を変える錬金術の使い手・安城逸見をトップとする元反乱勢力。今は統一政府に吸収されているが、その復讐心が消えてはいない。 フリーランス。 どこにも所属しない、というこの時代においては自殺行為に等しい暴挙に出て、それでも生き残ってきた怪物どももまた合流していた。 ───これら含む『72』の悪意だけではない。ここまで分かりやすい悪意だけを呑み込んだわけではない。 狙いはもう一つ。それこそ眩いほどの正義の心さえも利用するのが狙いなのだ。
/403ページ

最初のコメントを投稿しよう!

52人が本棚に入れています
本棚に追加