終章 穢れなき未来へと

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ーーー☆ーーー 「おほほっ。流石は楓っ。例の核の見学申請が通るなんて」 「ん」 ステファニー=スカイブルー、姫川楓、九龍蜜花は高校近くにある統一政府の中枢であるビルの最下層『とされている』地下15階……の更に下、隠蔽されし地下16階を訪れていた。 「でも、どうして核だっけ? そんなの見たいの?」 「おほほ。あれだけの事件を引き起こした原因をその目で見たいと思うのはそんなに不思議なことじゃないと思いますが。まぁ怖いもの見たさ、とも言いますわぁ」 「そう」 「……聞いておきながら、反応薄いのですわよねえ」 いつも通り無表情な楓の反応は予想通りだったが、それでも若干の寂しさがあるのか、誤魔化すように四人目に声をかけるステファニー。 「それより例の核の保管場所はどこなのです?」 「捕捉済み。進軍あるのみ」 無愛想に返すは絶対女王直属兵団兵長セルフィー=パカリーナ。他の階と違い、無意味に薄暗く狭い廊下の先頭で皆を案内する女である。 (気に食わないですわぁ) 姫川楓や九龍蜜花『には』隠しようもない好意を抱く彼女だが、昔からステファニーには興味がなさげであった。 姫川楓の善性が好ましい、まではともかく、『強いのに』が冠につくからこそ、九龍蜜花にも一定の好意(というか執着?)を持っているのだろう。 つまり。 ステファニー=スカイブルーは眼中にないのだ。 (おほほ。ですが、そのしたり顔が崩れるのも時間の問題ですわぁ。『魔法一強の時代は終わり、妾たちスカイブルー社がこの世を統べる』のですから) 支配者の条件はなんだ? 血筋? 財力? 権力? 暴力? 法律に定められた条件を満たすことか??? いいや、違う。 実際に他者を支配した者が支配者なのだ。 (絶対女王に君臨したから支配者? いいえそれは違う。逆らえないと、肉体も精神も魂も差し出すと、そう思わせてこそ支配。おほほ、貴女たちの失敗は一つ、妾たちに支配『された』と思わせることができなかったことですわぁ。おほ、おほほほほ!! 覚悟なさい、すまし顔の童顔女。愛しの『黒薔薇の姫君』が没落するサマを存分に堪能させてあげますわぁ) さあ、始めよう。 世界の支配者───『王』を決める戦争を。
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