第2話 《成り上がり》

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タクシーに乗り込むと運転士が「お客さん何処まで」と聞いてきた。 俺は思わず「ホテル、いや高級ホテルまで…」と言うとその子が「私何でもしますから…」と言った。 運転士がミラーで俺達を見た。 俺は「違います!この子は銀行の子です…風俗の子じゃありません」などとわけのわからないことを言っていた。 タクシーがホテルの前で止まった。 俺はリュックから帯の付いた百万円を出して1万円を抜いて「お釣はいいから…」とタクシーの運転士に渡し降りた。 一度このセリフ言って見たかった。 俺はホテルのラウンジでコーヒーを飲みながらその子の話を聞いた。 俺が「まだ銀行…」と言うと「さっき北島さんが銀行出てから追いかけてきました…私は沢田恵子21歳です…」と。 俺は「北島正司48歳です…」と言うと恵子ちゃんは「知ってます…北島さん私にお金貸してください!…何でもします…お願いします…」とまた泣き出してしまった。 周りの目もあるから「恵子ちゃん部屋へ行こうか…」と言うと「はい…お金貸してくれるなら私を好きにしてください…」と。 俺は「違うから!」と周りを睨んだ。
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