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「加賀!?
あの巨にゅ…
もとい、あの大きい?」
「左様。
赤城もそうだが、加賀も元々は戦艦として設計された艦だからね」
愛子がつい巨云々と言いそうになったのは、彼女が一式翁とは全く異なる角度から帝国海軍艦艇に興味を持ち始めたからであるのは言うまでもない。
それを知らぬ一式翁ではなかったもののそこは朴念仁、見事に彼女とは観点が異なっている。
「じゃあ、弓…
じゃなくてカタパルトから飛ばす97式艦攻さんに?」
「いや、当時カタパルトで射出していたのは水偵だけだったよ。
だが、97式艦攻に乗っていたのは確かだ。
マグさんが電信員で鳥松君が偵察員、私が操縦士を務めとったよ」。
「あれ?
確か晴嵐(せいらん)もカタパルトなんじゃ…」
愛子の言う晴嵐とは、潜水空母こと伊401潜に搭載されていた特殊攻撃機を指す。
しかし、一式翁が現役当時にはどちらも機密中の機密であったから、二十歳そこそこの娘に元海軍軍人が潜水艦と搭載機について教わるという、ある意味レアな一幕だと言えた。
「そうなのかい?
随分と昔にNHKでそんな番組をやったのは知っていたが…
正直そこまで詳しくは知らなかったよ。
そんな艦や飛行機があったんだなぁ」
愛子の博識さに内心舌を巻き尚且つ感心しながら一式翁。
そして言葉を続ける。
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