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「……今日はお花見に行こうか。
弁当でも作って」
胸の上を意味ありげに這い始めた指の動きを強いて無視して、
秋月が何気ない声を出した。
「お城の桜も、
そろそろ咲き出してるようだし」
「花なら、
ここでも見られますよ」
後ろから囁かれて、
え?と秋月が瞳を瞬かせる。
ほらここ、
と。
夏目が、
秋月のTシャツの襟ぐりを少し引っ張った。
剥き出しになった鎖骨の肩口のあたりに、
ぽつりと散った赤い花弁。
秋月が呆れたように声を落とす。
「……どうしていつも、
痕をつけたがるんだ?」
「え……やっぱり独占欲っていうか……」
捻った首でまじまじと見つめられて、
夏目が困った顔になる。
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