第1章

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「……今日はお花見に行こうか。 弁当でも作って」 胸の上を意味ありげに這い始めた指の動きを強いて無視して、 秋月が何気ない声を出した。 「お城の桜も、 そろそろ咲き出してるようだし」 「花なら、 ここでも見られますよ」 後ろから囁かれて、 え?と秋月が瞳を瞬かせる。 ほらここ、 と。 夏目が、 秋月のTシャツの襟ぐりを少し引っ張った。 剥き出しになった鎖骨の肩口のあたりに、 ぽつりと散った赤い花弁。 秋月が呆れたように声を落とす。 「……どうしていつも、 痕をつけたがるんだ?」 「え……やっぱり独占欲っていうか……」 捻った首でまじまじと見つめられて、 夏目が困った顔になる。
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