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「どうやらこちらに運ばれてきた数と報告された個数に二、三ズレがございますな……何方かの巾着袋に入っておればよいですが……」
アレフの意味深な言い回しにビクリと背筋を伸ばしたターミルをザイードは笑った。
「枷なら犯人はわかってる。気がすむまで眺めたら元に戻すだろう──…それまで待っていてやれ」
ククッと笑うザイードにアレフはため息を返した。
「私もそう思っているのでね…あと一日くらいは大目に見るつもりではありますがね……私も何かと忙しい──他の仕事もあるので出来れば今夜の内に返却されると有り難いですな……」
「……だ、そうだ。ターミル、もう十分眺めただろう? アレフに返してやれ」
笑いながら名指しで言われ、ターミルは顔を背けてチッと舌を打った。
案の定、腰に付けた大判の巾着からターミルは大小様々な形の枷を取り出して手前のアレフの膝元に放る。
「もう一個足りませんな」
「ちっ…しっかりしてるなアレフはっ」
的確な指摘にターミルは顔をしかめると袋に残しておいた枷を返していた。
「相変わらず拘束具に目がないな」
半ば呆れたように笑いながらザイードはターミルに言う。
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