4章 太陽神の裁き

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・ 猛将と言われたターミルは元は錠前師だ。主に牢の鍵作りを手掛けていた職人でもある。そして枷や拘束具も手作りしていた── 元の職人気質からか物珍しい拘束具や鍵を目の前にするとその構造を調べずには居られない。 渋々と返した品物を名残惜し気に見つめるターミルを無視してアレフは回収したそれをとっとと袋に仕舞っていた。 ザイードはそのやり取りを見届けて本題に戻った。 「珍しい拘束具の次には大量のアヘン……なら、そろそろ人買いが動く頃だな──」 ザイードの静かな声に皆が頷いた。 「近いうちに人拐いが増えるだろう──…その頃合いを見計らって我々も動くぞ……上手く便乗出来ればまとめて狩れる──」 ザイードは口角をゆっくりと上げて妖しく笑みを浮かべた。 日を跨ぐことなく語り合いの場はお開きになる。集まった者達が黒布のテントから次々に姿を見せるとザイードは最後にそこを後にした── 満月だった月は欠け始めている。 すっかり暗くなった夜空を見上げザイードは自分の寝所に足を向けた。
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