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「はい。それですが、サランフォールさんのお話では、今回、私たちを受け入れてくださった領主の方々が、クオラさまに手を貸してくださるとのことです。グレンさんが仲立ちできると思うので、相談されてみてください」
3人は頷いた。
「それから、スクネ領主カティリオさんが現在、預かっておられる子らについて、広く親戚を探していただきたいのですが…お願いできませんか」
「子供ですか?」
ハルノアに頷いて、ミナは言った。
「そうです。西セネル付近で賊に身の回りの世話、そして強奪の手伝いをさせられていたと思われる、まだ幼い子らです」
ミナは痛ましいように眉根を寄せた。
「両親は既にないのかもしれませんが、親戚ならば見付かるかもしれません」
ミナは視線をあげて3人を見た。
「カティリオさんはご自身で面倒を見ると仰いましたが、もし近い血縁がいるのなら、引き取りたいと思うかもしれません」
「わかりました。手配しましょう。何から何まで、本当に…言葉に尽くせません」
ハルノアが言った。
ミナは困ったように笑う。
「賊を捕らえたのは騎士たちや風の宮公、そしてこちらの側宮ですし、結界修復自体、行ったのは術師たちです。ほかにも、いろんな方に支えていただきました。ありがたいことです」
それからミナは言った。
「ではそういったところでしょうか。よければ休みたいと思います。まだ本調子ではないので…」
ハルノアが慌てたように言った。
「これは気付かず申し訳ない。では我々は、これにて失礼します」
3人が去ると、ミナは深い息を吐いて背もたれに身を預けた。
「大丈夫ですの?顔色が優れないように見えますわ」
そう言うサリにミナは笑顔を向け、その手に持つ箱に目を移した。
「大丈夫。おみやげなに?」
「お菓子ですわ」
サリはごまかされたような気はしたが、取り敢えず箱を開ける。
「わー、なんだろこれ、面白い形」
ミナは手に取ると早速食べた。
「気を付けないと中身が飛び出してしまいますわ」
「ほんとだ。でもおいしいね、これ。甘さがちょうどいいよ」
「気に入ってもらえてよかったですわ」
それから、ミナはサリの土産話を聞きたがり、話しているうち夕食になった。
宿の食事は豪華で、一行は満足して談話室へ行き、ミナは部屋に戻って早めに就寝した。
翌日、サリとミナは朝から町へ出て、セルズ王国中央政府の建物を見てみた。
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